ニューヨーク Biz! 掲載「HR人事マネジメント Q&A」 第28回 『雇用維持と採用促進策「部下に刮目(6)』

過去4回に亘って綴ってきた「従業員意識調査(以下:同調査)」は今回で最後となります。これまで、(1)従業員にいつどこで答えて貰うべきか?(2)質問量は?(3)回数または実施する間隔は?(4)設問の仕方は?(5)答えさせ方は?について取り上げましたが、前記事=7月22日号掲載=の(5)の答えさせ方において、従業員をして匿名で答えさせるか実名で答えさせるか或いは所属部署や部門までは分かるようにして答えさせるか?と問いましたが、これについてもう少しお話ししたいことがありました。

ご推察の通り、従業員が少ない会社であるにもかかわらず所属部署部門までも記入させれば彼彼女らは真実を言わない可能性が生じます。翻って、大勢の従業員を抱えた会社なら、設問の内容次第ではそこまで明かさせるべきかもしれません。さもないと懸念や問題または課題がどこの部門どこの上下間で発生しているかが不明なままになってしまうからです。事実、既に幾度も同調査を実施している企業では目的如何によって匿名式か実名式か所属部署部門を使い分けているところは多いです。

そしていよいよ最後は「(6)集計方法」についてです。過去の事例では、紙を用いた調査方法によりたとえ匿名方式であっても集計作業の仕方から誰が答えたかを凡そ推測できる故に従業員は協力的でなかった例などをお知らせしましたが、インターネットを用いた回答方式であってもそこから集計に至る過程で知ろうと思えばいつどのPCからアクセスして回答したかは探り得るので、そのような身元が割れるような懸念を従業員に抱かせることの払拭に努めねばなりません。その匿名性や公正さに努めるが故に企業サイズの大小を問わず同調査を第三者・外部業者に完全に委ねるところが大半なのです。

外部業者は事前に交わした契約条件から、回答された内容の開示は細かな部分まで行うものの、どの従業員が答えたかを特定できるような情報までを企業側に渡すことはありません。この完全匿名な方法である点を調査前に徹底通知し、従業員が如何様に答えようとも秘密は守られ報復は絶対にないこと、従業員の安全を企業側が確約すること、そしてこれらを出来れば従業員ハンドブックに記載してある報復禁止や内部通報・内部告発の項を添えることで従業員に安心して全て吐き出すように導くのが得策です。

そしてなんと、この従業員意識調査はその報告書とそれへ執った企業側の行動や措置の記録を積み増してていけば結果として御社が雇用関連訴訟に巻き込まれることを防ぐ有用な盾(証拠資料)ともなるのです。

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